2012年11月10日

太陽は夜も輝く

 

著 トルストイ 
訳 中村 白葉 
河出書房新社 
1,400円 
1990年12月 

「太陽は夜も輝く」というのはタヴィアーニという映画監督が

トルストイの後期作品「神父セルギイ」を原作にして作成した映画のタイトルのようである。 

原作ではロシアが舞台であるが映画ではイタリアが舞台となっており

登場人物の名前もイタリア風に変更がなされていたようである。 

ただし、本書はトルストイの「神父セルギイ」がそのまま掲載されている。 

後期の作品集だけに非常に宗教色が強い作品である。 

神父になった主人公を誘惑する女性が二人登場するのだがどちらも何ともいえず色気を感じさせる。 

女性を描いた際のみずみずしさがトルストイの特徴だ。 

新約聖書のいやらしい気持ちで女性を見ることも姦淫したと同じこと、

というような一文を引用するようなトルストイが

性欲との闘いをテーマに描くというのは当然であろう。 

そして名声とともに負けていく姿を描くことにより

「自己棄却」がいかに大切かを表現したかったのだろう。 

巻末の作家 島田雅彦氏とロシア文学者河野充義氏の対談も自由奔放で面白い。





 


ラベル:トルストイ
posted by okapi at 01:00| 新潟 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | トルストイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月02日

トルストイの日露戦争論


著 レフ・ニコライヴィチ・トルストイ 
国書刊行会
1,500円
平成23年1月

本書はロシアの文豪トルストイが1904年にロンドンタイムズに寄稿した「日露戦争論」を現代文にしたもの。

現代文にしてあるだけに読みやすい。

勿論、「日露戦争論」の本文にはトルストイの思想がストレートに表明されていて、

反戦の書としてだけでなく人生の書としても有意義だ。

しかし、本書の価値を高めているのは付録としてついている平民新聞社の評や「トルストイ時局談」やロンドンタイムズの評、

石川啄木の評だ。

なかでもトルストイ時局談ではフランス・フィガロの記者がトルストイ邸を訪れて取材したものらしくトルストイの生の声を伝えている。

そこにはトルストイの神に対する基本姿勢、

人間の務めとは「神に対する務めです。神というのが気に入らなければ、「宇宙」そのものに対する務めです。」など、

その思想のスケールの大きさを感じられる。

永遠、無限の宇宙の中で「私」という個人に課せられた義務とは何か?この答えが隣人への愛ということだろう。

ロンドンタイムズの評ではトルストイに対する厳しい批判も加えられており「無能」「偏狭」などと厳しくトルストイを評している。

こうした意見が当時あったということも自分で判断する材料となり本書の魅力を増幅させている。

昨年はトルストイの死後100年とのこともあり映画が上映されたり、NHKでも特集が組まれたりしていた。

しかし、その視線は死の直前に彼が行った「家出」に集中していた。

賛否はそれぞれであろうが、トルストイの転換後の思想こそがトルストイが後世に残した大きな遺産だと思うし、

もっとそこに注目するべきではないだろうか。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ



posted by okapi at 06:00| 新潟 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | トルストイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月15日

お伽の国―日本


著 アレクサンドラ・トルスタヤ
訳 ふみ子・デイヴィス
群像社
2,000円
2007年6月

著者は文豪トルストイの四女。

著者がソ連から日本に渡ってきた当時のことを記録した本。

当時の日本の様子や、娘から見たトルストイを知ることが出来る。



にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ



posted by okapi at 07:00| 新潟 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | トルストイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする