2014年06月22日

君のいた日々


著 藤野千夜
角川春樹事務所
1400円
2013年11月

妻を亡くした夫、夫を亡くした妻の視点で一組の夫婦を描き出す。

年代が自分たちと同じだから余計に共感できたのか涙が溢れてきた。

特に夫が妻を思う気持ちには強く感情移入した。

読後には優しい気持ちになれる。
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2012年12月29日

涼宮ハルヒの消失

 

著 谷川 流 
角川スニーカー文庫 
514円 
平成16年8月 

前作「涼宮ハルヒの退屈」で少し飽きてきたかなと感じていたが、

今回の「消失」はまた面白かった。 

シリーズものだけに順番に読まないと理解できない内容になっている。 

著者は本作のことを構想に入れて前作を描いているのだろうか。 

それとも完全に後付けで本作のストーリーを前作に絡ませて練り上げるのだろうか。 

私が密かに気にしていた「長門」の存在感が今後ますます増してきそうな

予感をさせる刊であった。








 


タグ:谷川 流
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2012年11月03日

赤頭巾ちゃん気をつけて

 


著 庄司 薫 
中公文庫 
590円 
1973年6月 

芥川賞の受賞作なんだそうだ。 

たまたま新聞を見ていたら紹介されていたので読んでみることにした。 

私たちより一回りくらい上の世代。 

学園紛争や政治的思想の対立といったことを若者が熱心追いかけていた時代なんだろう。 

私たちの時代は「しらけ」とか言われ

何事にもあまり夢中になれない地代だったような気がする。 

そういう意味でチョットうらやましい。 

ただ、若い男が女性に感じる心情については大きく変化なく、

こういう表現の部分はおもしろく読める。 

恐らく、世代の雰囲気をよくとらえた作品だったのだろう。 










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2012年10月22日

涼宮ハルヒの憂鬱

 

著 谷川 流 
角川スニーカー文庫 
514円 

当作品は第八回スニーカー大賞の受賞作品とのこと。 

インターネットの文章を読んでいるかのような文体でありながら、

著者の方はいろいろなことを知っている方なのだろうと思わせる。 

偶然、前回紹介した「人間原理」が本書にも登場したりする。 

いろいろな本を読んで勉強しているが故にどんなストーリーを書いても

厚みのあるおもしろい本に仕上がるのではなかろうか。 

あり得なそうな設定がまた面白い。 

どたばた感の中の哲学的要素が心地よい。 




 


タグ:谷川 流
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2012年10月03日

インバウンド

  著 阿川 大樹 
小学館 
1,300円 
2012年7月 

コールセンターを舞台にした小説である。 

沖縄出身の主人公の里美が東京からこっそり沖縄に戻りコールセンターで働き始める、

という設定。 

コールセンターでの業務に付いてはかなり具体的で

おそらく詳しく取材して書かれている物と思う。 

文章もとても読みやすい。

ストーリーも分かりやすい。 

故にすーと読めてしまう。 

40代の男が読むにはやや毒が足りない感じか。 

もっと独特な個性の登場人物がいてもいいのでは?と思ってしまう。 

そういう面では若くて純真な方向けの本なのかも知れない。 









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2012年09月10日

東京島

著 桐野夏生
新潮社
1,400円
2008年5月

以前ツイッター上で知り合った方が読んだ感想をつぶやいていた本であり、気になりながらなかなか読めなかった本だ。

当作品は映画化もされている。

夫婦が無人島に漂着、その後若者たちが同じ無人島に漂着、さらに中国人たちも漂着する。

その中に女性は最初に漂着した夫婦の妻だけという設定。

無人島での生活が続くと希望が絶望、諦めとなりその各ステージ毎に島民の心情は揺れ動く。

そしてそのステージ毎に必要とされる人物が異なり必要とされる人物がリーダー格として頭角を現すがやがてステージが変わったり、

期待が失望に変わったりすることでリーダーは没落していく。

一人の女性を巡るドラマも面白いが、上記リーダーの変遷を見ていると今の日本の政治とかぶってくる。

国民の期待を背に政権をとる党が期待に応えられないと見るや分裂状態となり、

今や国民の目は地方都市の市長に集中している。

無人島という閉塞状態、長引く経済低迷や原発事故による日本の閉塞状態と状況も似たり寄ったりだ。

こんな観点から本書を読むことは著者の意向に沿っていないのかもしれないが、読後に溜息が出た。


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2012年03月21日

一小説書きの弁

 

 著 西村賢太 
講談社 
1,600円 
2010年1月

このところ、西村賢太の小説を読み続けている。 

 単行本になっているものはあと、ひとつ、ふたつを残すのみとなっている。

 当随筆集は著者が単行本のあとがきの記したものや、文学館の紹介のために書いたのも、

日記、雑誌のために記したものなどが掲載されている。

 すなわち、単行本のあとがきなどは読むのが二度目、というものもある。

 『どうで死ぬ身の一踊り』のあとがきに収められている文章は二度目であるがこれが一番面白い。

 「当今のバカな読者やバカな評者、編集者なぞがよろこびそうな小説よりも・・・・・」と平気な顔で書いている。 

それも面白いのだがその前の「登場人物を都合よく動かしている部分が微塵もないところに・・・・・・」と記しているとこころに 

西村作品の面白さの秘訣があるのではないかと感じる。 

 人間は日頃、誰でも自分の頭で考えて自分の益になるように行動していると思っている。

 だが、実際には多くの失敗をやらかす。都合よくは動けない。 

頭に血が上っていたり、酒が入っていたり、浮かれていたりと生活している環境に影響される。 

そうした、もろもろに影響されながら自身で動いているように感じながらもその実、何かに動かされている。

 それをそのまま忠実に小説にしている。 

 西村作品の評に「何度も同じ失敗を繰り返している」というようなものを見かけてことがあるが、

 同じ失敗は繰り返さない、などという理性でどうにかなるものではない人間の性が共感を呼ぶ。

 どうせ、お利口さんには理解しがたいものだろう、という思い件の「バカな・・・」につながっているのだろう。 










 


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2012年03月05日

二度はゆけぬ町の地図

 

 著 西村賢太
角川書店 
1,400円 
平成19年10月 

 読まずにいると禁断症状さえ誘発する西村賢太作品。 

 当作品集の中でも一番インパクトがあるのは「春は青いバスに乗って」だ。 

アルバイト先で暴行事件を起こし、警察に捕まり留置場に留め置かれ、釈放されるまでが描かれている。 

西村賢太の小説といえば女や友達を自身の我儘により激しく罵り、暴行に及ぶ、というパターンが多い。 

よってこうした、それ以外の小説は新鮮に感じられる。 

一緒に収められている他の3篇にも共通して言えるが文体が最近の作品と若干異なる点も著者の変遷と思われ興味を惹く。

 「春は青いバスに乗って」の貫多は大した罪の意識もないが公務執行妨害の罪状の有無をめぐり心が揺れる。 

前科があるのは嫌だという気持ち。 

 留置場内での人間関係。また、外に出れば自由と感じていたにもかかわらずそこに水を差す現実。 

やりきれなさと我儘、低い罪の意識と権力、外と中、 

 様々な対称が対をなす一気に読み通せる作品だった。 











タグ:西村賢太
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2012年02月25日

人もいない春

 

 著 西村賢太
 角川書店
 1,600円
 平成22年6月 

西村賢太の小説といえば、自身の我儘から周囲の人間に暴言を吐き、酒に溺れ、卑猥な想像からせんずりをこく、というパターン。 

ところがこの第六創作集という位置づけの本にはちょっと風変わりな物が多い。

 ネズミの家族がレストランの料理長とやりあう?などという少しメルヘンチック??なものまで入っている。

 定番の秋江もの(「・・・もの」という括りを使うとポルノ系の商品のようだ)にしても他の作品に比べれば暴言はあるものの貫多はおとなしい。

 著者自身が穏やかに過ごしていた時期に書いていたものなのだろうか?などと勘ぐってしまう。 

もっとも、立て続けに西村賢太を読んでいる身としては時にちょっと拍子抜けな感じの暴力性の乏しい作品に安堵する。

 文章には人間性や日々の生活、感情の推移まで知らずに映し出されるのかと思うと恐ろしい。 

まして私小説はデフォルメしてあるにしろ自身の暴露本のような感覚だろうに。 

 それにしても、西村賢太の小説、女性にはうけが悪そうだ。



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2012年02月24日

寒灯

 

 著 西村賢太 
新潮社
 1,300円 
2011年6月

 小説というものの威力を感じる。

 今年の芥川賞作家も記者会見が話題になっていたが、その流れを創ったのが西村賢太ではなかろうか。 

著者の芥川賞作品「苦役列車」は全文掲載雑誌で全て立ち読みした。

 どうしようもない男の話だし何より主人公、北町貫太の台詞が汚らしい。

 それでも、その立ち読み以来西村賢太をことあるごとに読んでしまう。

 体に悪い物に依存症を発症してしまったかのようだ。 

 当作品は芥川賞受賞後の第一作品集という位置づけらしい。 

このところ西村賢太を立て続けに読んでいたからか言葉遣いはやや乱暴気味になってきている。 

そして思考までもが北町貫太、いや西村賢太に染まりそうである。

 ツイッターで呟く文章がやや貫太風になるのはまだしも、仕事上必要な記録を残す為の文章にまで「結句」などと使いたくなる始末。

 一方、トルストイの「戦争と平和」も読み始めていて岩波文庫版で順調に2巻まできている。

 しかし、悪貨は良貨を駆逐する。

 西村賢太、恐るべし。



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2011年10月25日

ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集


著 宮沢章夫
新潮社
1500円
2011年8月

面白い小説を読んでいると、どこまでが現実でどこまでが創作された世界なのかがわからなくなる事がある。

舞台は2001年9月の新宿。

まだ記憶に残っている方も多いだろうが風俗産業の入居しているビルで火災が起こり従業員やお客など多くの方が亡くなった事件を描いている。

実際、この事件は放火と言われていたような気もするがはっきりと記憶していない。

そして、もし、放火であったとしたらその犯人がどうなったのかも覚えていない。

こういう記憶にはあるけれども曖昧な記憶だけが残っている事件がモチーフになっていると本当にどこまでが現実で、どこからが創作かの区別が付かなくなる。

また、小説のタイトルがアルバム名になっていて当然、小説の中には音楽が登場する。

こういう文章を読むと自分も小説の世界の雰囲気を味わいたくなり文中に登場する音楽が聴きたくなる。

事件の方は調べなかったのだが、ボブ・ディランの曲はすぐにインターネットで検索し聴いてみた。

「宝島」という雑誌がまだ、小型の版で出版されていた頃、中森明夫の文章が連載されていて毎回曲名と共にストーリーが展開されていた。

当時はまだインターネットなどなく、その曲名の入ったCDやLPを探し歩いたりした。

今はすぐにインターネットで聴けるので便利ではあるが文章にも音楽にもときめく時間が短くなってしまい残念でもある。

本書のタイトル名の他に「返却」も掲載されている。


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2011年04月07日

塩狩峠


著 三浦綾子
新潮文庫
440円
昭和48年5月

少し前の読売新聞に水谷修氏が紹介していた小説がこれだった。

水谷氏がこの小説で人生が変わったといったようなことを書いていたこと、キリスト教に関する小説と書いていたことで興味を持った。

私自身はキリスト教徒ではないが、トルストイを読み、様々な宗教に興味を持つようになった。

三浦綾子といえば「氷点」が代表作と思うが実はこちらもまだ読んでいない。

この「塩狩峠」が私にとっての三浦綾子デビュー作だ。

主人公が男性だからなのか、文体がさっぱりしているからなのか男性の作品を読んでいるような錯覚をおこした。

著者の信仰が根っこにあるからか登場人物の生き方に惹き込まれる。

例えば、主人公の信夫の父が亡くなった後、信夫は

「(おれは自分の日常がすなわち遺言であるような、そんなたしかな生き方をすることができるだろうか)」

と自身に問うている。

ここで信夫も、そして読者も「日常がすなわち遺言」、このような生き方を目指すべきと悟り、悟らされる。

また、友人の吉川と信夫が語り合う中に吉川の台詞として出てくる

「・・・・・・この世の中に、何らの意味も見出せないとする考え方もあるかもしれん。・・・中略・・・だが、見るもの聞くものすべてに、自分の人格と深いかかわりを

感じとって生きていく生き方も、あるわけだからね」

とある。

人生の意味を考える重要なヒントを含むと感じた。

あとがきに詳しく記されているが、この小説の主人公には実在したモデルがいる。

それが小説に力を持たせているのかもしれないが文章に引きずり込まれ、自分の生き方を見直さなければならない、と思わせる。

水谷氏の人生が変わったという紹介文に大きく頷いた。

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2005年06月21日

聖の青春

著 大崎善生
講談社
1700円

最近は文庫も出ているようです。
将棋は下手ですが好きなほうです。
将棋の小説、ドキュメンタリーも好きでよく読みました。
小池重明さんのものが好きで、なんともあのアウトローな感じがかっこいいですね。
村山聖さん、NHKの将棋対局で何度も彼の将棋を見ました。
1局、1局にすさまじい気力体力を要していたのですね。
この本、村山さんの生涯を綴った本です。
入りの部分がマムシとの遭遇の話ですぐに引き込まれました。
結構読み応えがある本なのですが、途中で止める事が出来ずに深夜までかかって一気に読んでしまいました。
読み終わった後はしばらく涙がとまらずなかなか寝付けませんでした。
「感動」というよりは人生、純粋、夢など様々な事を考えさせられます。
そして考えるたびに涙が出てくるのです。
私はたまたま将棋が好きだからここまでは入れたのかもしれませんが、将棋が好きでない方ものめりこめるのではないかと思います。
posted by okapi at 05:49| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする